リウマチ科
リウマチは一つの病気ではありません。自己免疫の異常によって起こる、手足の関節に起こる様々な異常を主な症状とする疾患を総称してリウマチ性疾患と言います。
最も多いのは、関節の滑膜という組織が繰り返し炎症を起こす関節リウマチですが、その他にも痛風が原因の関節炎、血管炎や間質性肺炎を伴う膠原病、不明熱な等多くの病気がリウマチ性疾患に含まれます。
当院のリウマチ科では、一般的な関節リウマチだけではなく、総合的にリウマチ性疾患全体を扱っています。関節の炎症などにお悩みの方は一度ご来院ください。
リウマチの症状
以下のような症状がでたら、リウマチ性疾患の可能性がありますので、一度専門医を受診してください。
- 関節が腫れる
- 関節が痛む
- 手足の指に冷感があり、皮膚が白っぽくなる(レイノー現象)
- 寝起きに手指の関節が強張り、着替えや物を握ることが困難
- 関節が変形してきた
- 上腕部や太ももの筋肉の痛みが続く
- 健康診断の血液検査でリウマチ因子や抗核抗体などが陽性と指摘された
(リウマチ因子や抗核抗体が陽性の場合、80%程度がリウマチ性疾患の可能性があります)
痛風
突然足の指のつけ根などが赤く腫れ、歩くことができないほどの痛みを感じたら、痛風の始まりかもしれません。この痛みはしばらく続きますが、基本的に約1週間~10日で治まります。痛みが治まったからといって、痛風が治ったわけではありません。体に尿酸が溜まった状態を放置すれば全身の様々な場所で症状を起こすことになります。
痛風が起こるメカニズムですが、人体を動かしたり細胞をつくったりする為にエネルギーを作って生じた尿酸は、通常は不要物として尿から排出されます。ところが尿酸が作られすぎたり、上手く排出されなかったりすることがあります。その時血液中の尿酸が増えてしまい、徐々に尿酸は結晶化します。この結晶は針のように尖った形状をしていて、これが関節などに蓄積し、激しい痛みの原因となります。
男性は女性より血中の尿酸値が高い傾向にある為、罹患数も圧倒的に男性が多く、男女比は約20対1程度となっています。
健康診断などの血液検査では尿酸値の正常範囲は2.0~6.9mg/dlです。検査の結果尿酸値が7.0mg/dl以上な場合や、高めと指摘された方は専門医を受診して食事療法の指導なども含め適切な治療が必要です。
偽痛風
痛風と同じように関節痛の症状を呈しますが、血液検査をしても尿酸値が高くない場合は偽痛風(ぎつうふう)が疑われます。
主な症状は炎症と共に痛風と似た激しい関節痛が生じ、時に発熱や、患部が赤く腫れるなどが現れます。発症する部位としては膝関節が最も多いのですが、その他の大きな関節に起こることもあります。患者さんの男女比は痛風と異なり、女性のほうが2~3倍程度多く、また65歳以上の高齢者に多いのが特徴です。
このような症状が起こる原因については現在のところ良く分かっていませんが、関節内に尿酸血症ではなく、ピロリン酸カルシウムという石灰分の結晶が溜まってしまい、何かのきっかけからその結晶が剥がれ落ちる為に炎症が生じます。痛風との区別をつけるためにはX線検査が有効で、関節内の石灰の有無を確認します。
治療には鎮痛消炎薬を使用し、数日で症状は改善します。
関節リウマチ
関節リウマチについて
骨と骨の間には軟骨があり、軟骨は可動部の骨の尖端同士が直接ぶつからないクッションの役割を果たしています。それだけでは安定性や可動性が足りない為、関節全体を滑膜という組織が包み込み、さらにその外側を関節包という組織が包み込んで袋のようになっています。この関節包の中は関節液で満たされ、関節部のスムーズな動きを助けています。
滑膜は、関節全体を包み込み安定させると同時に、関節液を作り出す働きもしています。関節リウマチはこの滑膜が自己免疫の異常により炎症を起こすことで発症し、関節が動きにくくなったり、変形したりして、ついには癒着してしまうこともあります。
関節リウマチが疑われる時には、すぐに当院までご相談ください。
症状
主な症状は関節の炎症により、腫れ、熱感、痛みを伴う疾患です。初期症状は手や足の指の関節が腫れて強張ります。特に朝起きた時に症状が現れる事が多く、時には着替えなどが難しくなることもあります。さらに関節リウマチによって貧血、微熱、倦怠感などが現れることもあり、関節だけの病気ではなく全身病として考えられており、早期発見、早期治療が大切な疾患です。
診断
血液検査での特徴としては、熱や各種の感染症などを含めた炎症でみられる「CRP」という数値の上昇に加え、「抗CCP抗体」、「リウマチ因子」、「MMP-3」の上昇が多く見られます。
診断は関節の腫れや上記数値の上昇を総合判断し行います。特定のウイルス、細菌や粗他の物質が原因となっているわけでありませんので、診断には治療経験の豊富なリウマチ専門医でないと悩むかもしれません。
関節リウマチとエコー
エコー
関節リウマチでは、滑膜が増殖し放置することによって、軟骨が損なわれ、更に関節部の骨本体まで損傷を起こしてしまうことになります。その為、早期発見が大切で、軟骨が損なわれる前に適切な治療をすることで病気の進行を食いとめることができます。
その為、滑膜に異常があるかどうかを発見する手段として、MRI検査が行われてきましたが、これには大きな施設が必要で、検査にも時間や費用がかかります。
代わりに近年注目されているのが超音波エコーです。エコーを使えば、その場で簡単に関節包の腫れや滑膜の血液の状態なども映し出して視認することができます。
関節リウマチの治療
薬物療法
本来は抗がん剤として、用いられてきたメトトレキサートが、近年の研究で関節リウマチに大きな効果があることが認められてきました。その為、現在の治療はメトトレキサートによる薬物療法を中心となっています。
また、この薬の効果が十分得られない場合は、免疫を抑制する薬や、人工的に体内にある抗体を作り出した生物学的製剤などを用いることになります。
また、メトトレキサートには副作用があり、患者さんの体の状態によっても使用できないことがあります。その時には、免疫の働きを抑制するDMARDsとよばれるタイプの抗リウマチ薬の使用を検討します。
また、関節リウマチの治療としては、変形してしまった関節に対する手術療法やリハビリテーションなどを行うこともあります。