脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症

脊柱管とは、背骨の中にあって体を動かす命令を出したり痛みを感じたりする情報を伝達する脊髄神経が通っているトンネル(管)です。この通路が、背骨や組織の異常で、神経が圧迫され、様々な症状を起こすのが脊柱管狭窄症です。
中年から高齢者に多いことが特徴で、通路が狭くなってしまう原因としては、加齢や外傷の他、遺伝的要素なども関係すると考えられています。

脊柱管狭窄症の症状

代表的な症状は腰痛、下肢のしびれや痛み、間欠性跛行があります。
一番特徴的な症状は、立っている時や歩いているのに、お尻から下肢にかけて痛みやしびれが起こります。特徴的な症状としては「歩いていると徐々に下肢のしびれや痛みが生じ、休まないと歩き続けることができなくなります。これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)といい、継続して歩くことができる時間は、数十分から数分と進行度合いにより異なります。

このような症状がありませんか?

  • 歩いていると下肢に痛みやしびれが生じ、休憩が必要。(間欠性跛行)
  • 前かがみの姿勢をとると楽になる
  • 仰向けの状態で寝るとしびれが生じる
  • 腰をそらすことができない
  • スリッパが良く脱げる
  • 足に力が入らない
  • おしりや下肢の引きつれた感覚や違和感がある
  • 足の裏を触ると直接触れられているように感じない
  • 肛門周囲がしびれる
  • 排便・排尿がしづらい、残尿感がある

脊柱管狭窄症の検査と診断

まずは問診で、腰痛がないか、しびれや痛みの状態はどれほどか、どんなときに症状が現れるか等を確認します。
その後、身体診察で下肢の筋力の衰えの具合や、知覚障害の有無などを確認します。
その後は画像検査になります。画像検査では、X線検査で状態を確認できることもありますが、さらに詳細を把握するためにはMRI検査なども行います。

単純X線(レントゲン)検査

背骨の状態を確認する為に行うもので、骨の変形やすべり症などの疾患がないかなどがわかります。さらに詳細に診たい場合はMRI検査を行います。

MRI検査

磁力線による検査は、柔らかい組織の観察に適しているため、X線では分かりにくい神経の状態を観察する為に行います。ただし、ペースメーカーなどの金属を体内に埋め込んでいる方や閉所恐怖症の方などはMRI検査ができないこともあります。

治療

治療方法としては、まずは保存療法を行います。保存療法としては、薬物療法と理学療法があります。

理学療法

理学療法としては、腰を安定させるためにコルセットなどの装具を使用したり、筋力の低下を避けるためにリハビリテーションを行ったりします。

薬物療法

薬物療法では、消炎鎮痛薬や血行促進薬などの内服で症状を改善します。また、湿布や塗り薬などを使うこともあります。それでも改善が見られない場合は、神経ブロック注射を検討することもあります。
脊柱管狭窄症における神経ブロック注射は、狭窄している場所に直接、局所麻酔薬を注射する方法で、一時的に痛みなどの症状が軽減されるだけではなく、血管拡張や強張った筋肉をゆるめる作用もあります。外来で行うため、入院の必要もありません。
状態によっては、何度か注射を行うこともありますが、この治療だけで治ってしまうケースもある有効な治療法です

手術

薬物療法や理学療法を行い、日頃の生活を工夫しても改善がみられず、排尿・排便障害など日常生活に影響がでている場合は手術を検討することになります。
手術は、狭くなった脊柱管を拡げて、神経が圧迫されている部分を取り除くことが目的です。具体的には狭窄している部分の骨を削ったり、椎間板や靱帯を取り除いたりすることになります。これを除圧術といいます。
また、すべり症などが起こり、骨がぐらぐらと不安定になっているようなケースでは、除圧と共に、不安定な骨を固定する手術を行うこともあります。これを除圧固定術といいます。
当院では、手術が必要な場合には対応可能な医療機関を紹介しております。

日常生活での予防方法

腰に良い姿勢を保つ

腰椎の保護のためには、正しい姿勢が大切です。とくに重い物を持ち上げるさいは、腰をかがめ、背筋は曲げないように注意することで腰への負担が減ります。
また、中腰はできるだけ避け、椅子にすわるときも浅く腰掛けると腰への負担が増えますので、深く腰掛けて姿勢も正しく保つようにすると良いでしょう。

できるだけ運動して筋力の低下をふせぐ

歩くことや様々な運動が辛くなってくることが多い脊柱管狭窄症ですが、動かないでいると筋力が低下して、さらに動くことが辛くなるという悪循環に陥り、最悪の場合は寝たきりになってしまう恐れもあります。
医師と相談しながら無理のない程度で、運動を続けるようにしましょう。歩くのがつらい場合は自転車に乗ったり、手押し車などの補助具を使いながら歩いたりなどの手段も考えられます。
当院では、医師と理学療法士が連携して、患者さんそれぞれにあった運動方法や日常生活のアドバイスを行っていますのでお気軽にご相談ください。

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